
株式会社石本建築事務所 様
全社課題を抽出する超上流からシステム構築まで一気通貫で支援
主にExcelを活用して制作プロジェクトの管理を遂行していた石本建築事務所様。多重入力・転記、手作業によるデータ確認作業等に加え、潜在的な課題を多く抱えていました。そこで、見積・提案、受注・契約、設計、監理、維持管理(検査)業務のプロジェクト管理を行う新システム構築に向けたテーマの抽出とシステム化構想を支援するコンサルテーションを実施。その後、業務の流れとデータの蓄積をリンクさせ、効率的な業務遂行を支援するシステム(ProjectNavi)を構築しました。
株式会社石本建築事務所 様

石本建築事務所は国内5拠点にオフィスを構え、建築意匠、構造、電気・機械設備等の分野の、アーキテクト、デザイナー、エンジニアを擁する総合建築事務所です。設計・監理などのプロジェクトに『社員が、それぞれの所属するオフィスや部署、世代などの垣根を超えて協働するかたち』=『One ISHIMOTO』の体制で、お客様に喜ばれ、広く社会に貢献し、未来を拓く「良い建築」を追求しています。
石本建築事務所様のビジネスを支えるProjectNaviとは
業務の流れとデータの蓄積をリンクさせ効率的な業務遂行を支援するシステム
石本建築事務所様のビジネスを支えるProjectNaviは、プロジェクト管理、建物管理、文書管理、実行予算管理、受注入出金管理を一連のプロセスで行える全社共通基盤です。
プロジェクト関連の情報を一元管理する機能を開発するフェーズ1.0、間接部門が使用する請求管理・支払管理などの機能を開発するフェーズ1.5では、適切な情報の共有による組織全体の一体感の向上を目指しました。
さらに、現在進めているフェーズ2.0では、他システム連携機能の開発と過去実績データの移行、データ分析のPoCを進めており、組織知の蓄積・共有による業務品質向上を目指しています。(2025年5月時点)
導入検討時の課題
業務課題の棚卸やニーズの取りまとめに苦戦していた
Excelを中心とした制作プロジェクト管理の遂行には多くの課題があったため、業務課題の棚卸やニーズの取りまとめ等を社内ワーキンググループを形成して行っていましたが、進捗しない状況が続いていました。(石川様)
導入検討時に抱えていた課題
リンクレアが選ばれた理由
スクラッチ開発を前提とした超上流工程とシステム化構想立案の提案が決め手

取締役 技術担当 兼 エンジニアリング部門統括
横川 和人 様
ワーキンググループでは、プロジェクト管理をキーワードに市販のパッケージソフトウェアやクラウドサービスの導入検討も進めていました。しかし、弊社の業務に合った市販のパッケージソフトウェアやクラウドサービスがなかったため、リンクレアさんを含めてスクラッチ開発ができる会社に相談しました。システム開発の提案ではなく、「制作部門を中心に業務の調査・分析、課題の洗い出しを行ってから、開発に進んでいきましょう」というリンクレアさんの提案が決め手でした。(横川様)

企画総務部門 情報技術グループ統括
石川 智也 様
市販のパッケージソフトウェアやクラウドサービスは多機能ですが、利用しない機能も多くあります。また、サブスクリプションが当たり前になってきているため、長期的な運用を考えると、ランニングコストが高くなってしまうのではないかと気になっていました。そんなとき、スクラッチ開発を前提にした「課題抽出(STEP-ZERO)、要求分析(CANVAS-SA🄬)・要件定義」の提案をいただき、リンクレアさんにお願いすることにしました。(石川様)
プロジェクトをふりかえって

リンクレアさんは社員よりも私たちの業務の流れを理解している
プロジェクト管理システム(ProjectNavi)をスクラッチ開発するにあたって、リンクレアさんに弊社の業務整理から業務課題・システム化のテーマを抽出していただきました。「みんなが何となくやっていた作業の目的や理由」をリンクレアさんに問われると、言葉に詰まることが多い状況でしたが、そこを紐解いて業務を一気通貫で整理していただけました。 我々だけでは取りまとめることが難しかった業務課題やシステム化ニーズを、第三者の視点でリンクレアさんに取りまとめていただけたことは、非常に大きな成果だったと思います。(石川様)
リンクレアさんは、業務の課題を赤裸々にする洞察力や課題整理への対応力が非常に効果的で、素晴らしかったです。リンクレアさんに調査・整理頂いた内容を共有することで、分かっているつもりでいた業務ルールやフローが、より明確になり、無駄な業務の存在にも気づくことができました。(横川様)
モックを活用した要件定義は完成イメージを掴みやすく、色々なアイデアが出せた
我々がお客様から受注する制作プロジェクトは、システム開発のプロジェクトと似た点があります。お客様は建築設計の専門家ではないため、設計図面をお見せしても完成イメージをなかなか掴むことができません。そこで、私たちはお客様にパース※、模型、3Dモデル等をお見せし、完成イメージを掴んでいただきやすくなるようなプロジェクトの進め方にこだわっています。 それと同様に、我々はシステム開発の専門家ではないため、システムの設計書を見ても完成イメージが掴めないのではないかと危惧していました。そこで、リンクレアさんには開発フェーズに入る前からモックを用いた開発をお願いしていました。実際に要件定義の後半では、リンクレアさんからご提示いただいたモックのおかげで完成イメージが掴みやすく、色々なアイデアを出すことができました。(石川様)
※パース:建物の外観や内部を立体的に描いた透視図
導入効果
多重入力が減り、プロジェクトの情報が探しやすくなった
用語の定義や業務フロー・ルールの整理を経て、ProjectNaviを開発していただきました。ProjectNaviはデータの整合性を保ち、効率的にデータ管理ができるシステムです。Excelを利用してデータの連携をあまり深く考えず、その場しのぎで体裁を整えていた状況とは異なり、データ入力にルールが必要になるため、リリース当初は入力することに抵抗を感じているユーザーもいましたが、入力したデータがそのままあらゆる場面で生かせる事がわかる様になってきてからは、ProjectNaviの有用性に対する理解も深まってきていると考えています。 入力されたデータはすべてProjectNaviで一元管理されるため、「誰が」「どのような」案件に関わっているかをリアルタイムで把握できるようになりました。(石川様)
施工会社はどこが関わっているのか?お客様や関係官庁にはどのような資料を提出しているのか?等、これまではプロジェクトに関わっている人を探して聞かなければ分かりませんでした。今では、 ProjectNaviを見れば分かるようになりました。また、実行予算書はプロジェクトリーダーが適宜登録しており、プロジェクト状況をリアルタイムで把握できるようになりました。正しいデータが一ヵ所にまとまっていると便利ですね。(横川様)
会議のためのデータ収集や資料作成がなくなった
以前は点在しているデータを収集・加工し、膨大な時間と労力をかけて会議資料を作成していました。今ではProjectNaviの画面を見ながら会議をするようになり、会議のための資料作成が不要になりました。
また、成果物の品質を担保するためのプロセスチェック業務は、ProjectNaviに入力されたデータを使用して行っています。プロジェクトで入力されたデータが、ISOなどの審査にそのまま使用できるため、審査前の書類整理がなくなりました。(横川様)
今後の展望
データを活用したプロジェクト分析機能を実装し、業務・経営判断の強化を目指す
現在進行中の開発フェーズ2.0では、マネジメント層の業務判断や経営判断を支援する分析機能を開発しています。ProjecNaviが勤怠管理システムと連携することで、過去の類似したプロジェクトデータを活用し効率的な就業管理や最適な人員配置の計画、精度の高いコストマネジメントができるようになります。(石川様)
今まではExcel、コスト管理システム、勤怠管理システムから抽出したデータを分析し、様々な予測や計画を立てていましたが、多くの時間と労力を費やしていました。開発フェーズ2.0で開発している機能をリリースすることで、人工や支払いなどの実績データを使って効率的に精度の高い予測や計画を立てられるようになると期待しています。リアルタイムで会社全体の状況を把握し、分析ができるようになるため、大きな経営メリットがあると思います。(横川様)
成長し続ける人・組織とともに、ProjectNaviも進化を続ける
我々のプロジェクトの進め方やビジネスは変化していくと考えています。その変化に合わせてProjectNaviをメンテナンスしつつ進化させていかなければなりません。そのためには、リンクレアさんに引き続き支援していただきたいと考えています。(横川様)
今後は制作部門においてBIM※が浸透していきます。BIMはデータベースです。BIM※に蓄積されている膨大なデータを集約し、分析できるようになると、制作部門の仕事の進め方も大きく変わるのではないかと期待しています。BIMはリンクレアさんの得意領域ではないかも知れませんが、BIMを得意とする会社とリンクレアさんが共同でシステムを開発していただけると、弊社の更なる展望が開けるのではないかと期待していますので、引き続き支援をお願いします。(石川様)
※BIM(Building Information Modeling):建築物の設計、施工、維持管理業務に活用するシステム

お客様プロフィール(取材当時/2025年5月現在)
- 会社名
- 株式会社石本建築事務所
- 所在地
- 東京都千代田区九段南4-6-12
- 設立
- 1927年9月
- 事業内容
- (1) 建築に関する調査・企画、設計・監理、診断業務
(2) 建物の建設、維持管理に関するマネジメント・サポート業務
(3) 都市再開発・まちづくりに関する調査・企画・設計
(4) (1)~(3)に関する各種コンサルティング業務 - ホームページ
- https://www.ishimoto.co.jp/